部下を取られるということ

自分が育てたなんていうつもりはないが、自分が色々相談にのったり、自分が色々フォローしたり、苦楽をともにした部下がいる。

ところが経営陣から目をつけれ、部署はそのままでよいが、自分たちの仕事を手伝って欲しいと言われた。

当初聞かされていたお手伝いの内容は、それほど重いものではなかったので、OKしたのだが、実態は想像を絶するものだった。

始まり・・・

ある時、経営陣から呼び出された。

どの部署も資料作成が遅く、自分達経営陣の仕事において歩留まりが発生して困っている。

あなたの部下、資料作成も早いし、こちらの言うこともすぐに理解してくれる。

言うべきこともちゃんと言える。

だから部署はそのままでよいから、必要な時に経営陣の仕事をその部下に手伝ってもらいたい。

実は、あなたの部下にはそのことを既に話していて、あなたがOKなら大丈夫と言われているのだが・・・

もちろん、ずっと頼るわけではない。

あくまでも一時的なものだから・・・会社組織に大きな変革が起こっている今、この時期に必要で、軌道に乗ったら、元に戻すから・・・

そんなことを、突然言われた。

更に実は、そのことを私は予め、部下から聞いていた。

資料作成程度のことだという。

このことか・・・と思いながら、とりあえず、OKしてしまった。

ここから経営陣の拡大解釈が始まる。

資料作成どころか、プロジェクトの一任だった

その後、数日たって、その部下からとんでもないことを言われた。

「あちらの部署の部長の仕事が滞っているから、それを引き継いで欲しいと言われました」

・・・???

いったい何がどうなったら、その仕事が資料作成なの?

それって、あっちの部長が経営陣が思いっきり違う仕事を押しつけ続け、滞ったプロジェクトじゃない?

その仕事を、なんでこの部下が引き継がなきゃならないの?

それに、その仕事は通常、情報システム部門の私たちじゃなくて、総務の人間たちが行うべきものだろう。

総務にふるべき仕事をなんで、こっちが引き受けなきゃならねーんだ?

私は、頭に大量の?マークとイライラを募らせた。

資料作成という話しを信じた私が、馬鹿だったんだろうか・・・

いやいや、そもそも資料作成程度ですからと、私は直接言われたはず・・・

それをどこをどう解釈したら、事業の引継ぎになるんだろう?

拡大解釈の天才だって、ここまで露骨にはやらんだろう。

甘かった私の考え

正直に言えば、私の考えが甘かった。

経営陣は私に言った。

「資料作成程度、大した仕事じゃないんで・・・」

私はこの言葉を聞いたとき、正直嘘だと思った。

どうせ、この件を引き受けたら、とてつもなく大変なボリュームの資料作成をさせようというのだろう。

それも、期限付きなんて口では言ってはいるが、どうせ、ずーっと、自分がこいつは使えると思っている間は使い続けるつもりなんだろう。

だって、私が育てたこの部下は、私なんかよりも遥かに優秀なのだ。

この部下のことを散々悪口言って、低評価をし続けた経営陣、そして私にもっとちゃんと指導しろと言い続けた経営陣、この部下があなた方経営陣の低評価や叱責に苦しんでのたうちまくったのをフォローし続けた私の大切な部下を、今度は、

「お!使えるじゃん、ちょうだい!」

って言っているのだ、この人たちは。

でもOKしてしまった以上、もう後戻りはできない。

どうすればいい?

この続きはまた次回・・・