社内SEである私の上司達・・・2人目 元経理部長

2人目の上司は元経理部長・・・とても物腰の柔らかい方だった。
情報システム部門の責任者として部長をやってくださったのは、ごく僅かの期間だったが、私たちの仕事の大変さや気持ちを、真剣に理解してくれようと努力してくれる方だった。
印象としてはひと言・・・やり易かった
この方も1人目の総務部長と同様、ITに関しては詳しい方ではなかった。
ただこの方は、自分がITに関して詳しくないから、どのようにすれば私達社内SEが動きやすくなるかを、考えてくださる方だった。
私たちの考えをよく聞いてくれて、私達の考えで比較的自由にやらせてくれた。
またその分、上の方々への調整や、責任問題に発展しそうなときは矢面に立ってくださるなど、私達社内SEが作業に集中できる環境を作ろうと努力してくださった。
この時代の情報システム部門の責任者は大変
この方を見ていると、この時代に情報システム部門の部長になる方というのは、つくづく大変だと感じたことを覚えている。
なぜか・・・
これまで情報システム部門というのは、それなりの大企業でなければ、必要のない部署だった。
それだけ、IT関連というのは、誰かが本業の業務を持ったうえで片手間で運用しているのが実情だった。
逆に言えば、規模的にもそれで済んでいたのだと思う。
ところ、これだけITがあらゆる部署のあらゆる業務に入ってくると、片手間で運用できる時代は終わったと言わざるを得ない。
そして、今、部門の責任者という適齢期を迎えた方々は、ITとは程遠い部署で経験を積んできた方だ。
若いITの得意な人間が、いきなり部門責任者になるということは、会社としても許されるはずもなく、とりあえずお願い・・・と言われた、違う畑の経験してきた部長さん方が、いきなり情報システム部門の責任者にされてしまう。
あまりにも無茶振りな人事、考えてみれば、1人目の総務部長も2人目の元経理部長も、気の毒な方々なのだ。
ITのこと何も知らないのに、ある日急に情報漏洩だのシステムダウンだの起こった際の、責任を取らされるのだから・・・
情報システム部門が不要だった時代から、必要な時代になった、変わり目、過渡期・・・そういう状況の真っただ中に、2人の部長は放り込まれたのだ。
でもこれって、他の数多の企業でも、起こっているはずなのである。
2人目の上司の忘れられない言葉
色々大変だったはずの元経理部長・・・
物腰が柔らかい方だったので、色々な愚痴を聞いてもらったこともある。
その中で忘れらない言葉がある・・・
以前その元経理部長にこんなことを話したことがある。
「社内SEはお金を稼ぐことができません。なので最終的に、総務課長になるか、会社がやばくなったら、真っ先にリストラされる存在なんです。IT企業時代、会社を辞めて行った先輩方の多くは転職先でそんな扱いを受けている姿を見てきました。自分も、いつか総務に進まなくてはいけないかもしれない、いやもしかしたら、会社がやばくなれば真っ先に切られるかもしれない・・・そんな覚悟で毎日働いているんです。」
思っていたことをそのまま話した。
すると、元経理部長が・・・
「そうでしょうか・・・私はそうは思いません。昔がどうだったかは知りませんが、今の時代、情報システム部門は会社にとって絶対に必要な部署です。それに頑張っていれば、みんな必ずその姿を見ています。だから頑張ってさえいれば、この部署がなくなるなんてこともあなたが不要だと判断されることも、この先ないと思いますよ。」
自分の社内SEとしてやっている仕事が、そして自分自身のポジションがなくなることはない・・・と言われた言葉、今でもよく覚えているし、これからも忘れることはないだろう。
2人目の上司は、IT技術ではなく、心の支えになってもらった。
そして、私たちのために動いてくれていたその上司も、ある日突然の人事異動で、情報システム部門から離れて行くことになり、3人目の上司がやってくることとなる。
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