常軌を逸した無茶振り

人間、追い詰められるとこうも周りが見えなくなるものか・・・

経営陣に追い詰められた他部署の部長が、資料作成を求めて来た。

しかし、期限は考えられないくらい短い期限だった。

2週間、夜中まで掛かった資料、期限は2日

この資料は以前作成したことがある。

思い出したくもない資料だった。

これ・・・またやるのか。

それを思うと憂鬱だった。

この資料を作るには、こうして欲しい・・・という内容のことを何度かその部長に相談したことがあったが、はいはい・・・と外面だけはよくて、実際に行動には起こしてくれなかった。

できれば、ある程度システム化して資料を作成できるようにしたかった。

そうしないと、時間も掛かるし、何より間違うからだ。

この資料は、間違ってはいけない資料。

だからこそ、人間の手をなるべく煩わせない仕組みを構築したかった。

ただ、結局日々の忙しさで時間だけが過ぎて行き、この仕組み作りには手を付けることができなかった。

結局、手作業で全ての作業を行うことになる。

その上、依頼を受けたとき、とんでもないことを言われた。

「これさ~、ま~今週中に頼むわ~。そうしないと間に合わないんだよ」

・・・あんた気は確かか!

口には出さないが、そんな思いを口に吐き出しそうになった。

言われたのは夕方・・・そして仕上げるのは明後日までという期限だった。

前回、作るのに2週間掛かった資料・・・

しかも、夜中まで掛かって作った資料だ。

さすがに今回は無理だろうと思う。

その部長も追い詰められている

しかしきっと・・・

その部長も追い詰められているのだ。

ご多分に漏れず我が社の経営陣たちに・・・

そして、周りが見えず、作業に忙殺され、いつの間にかこの資料作りの依頼を忘れてしまっていた・・・どうせそんな落ちなのだ。

この会社の方針は間違っていないと思うのだが、やり方は明らかに間違っている。

不幸な人を量産し続けているのだから・・・

仕事で辛い思いをすることはある程度必要・・・それが成長につながるからだ。

ただ行き過ぎた辛さは、ただただ人間の心を壊す。

人間の心が壊れれば、人間関係も簡単に壊れる。

そして多くの場合、みんなそのことに気付いている。

でもどうしてよいのか分からない。

日々、次々と振ってくる指示や無茶振りをこなすだけの毎日を送ることにより、もっとよくとか、もっとこうしよう・・・なんて思いは奪われていく。

こんな辛い思いをしているのに、それに見合った見返りはない。

部長も被害者・・・

でも私達も被害者・・・

ここで頑張らなければ、資料はできない。

資料ができなければ、満遍なくみんな不幸になる。

とは言え、限界はあるのだから、あきらめてみてもいいのかもしれない。

経営陣に1度は痛い目を見て欲しいと、心の底から願っている。