DX時代の人材の育て方⑫・・・IT担当者が試練を乗り切るためのフォローについて

昨日の続き・・・

ITリテラシーを上げること、言い換えればITツールを使いこなすために必要な前提知識としては次の3つ。

〇使いこなすまでのフェーズは3つあって、①と②の段階が1番苦しいこと

〇①と②の苦しい段階を乗り切るために、あらゆる工夫を自分なりにして欲しいこと

※愚痴れる相手を探しておく、ストレス解消法を身に付ける、情報システム部門に頼るなど・・・

〇情報システム部門はこの①と②の段階を乗り切るために、あらゆるフォローをすること

この3つについて、補足する

■①~③について

①ITツールに関する勉強をして知識を身に付ける

②身に付けた知識をもとに、ITツールを使いこなせるように頑張る

③自由自在に使いこなせるようになると、業務効率化など、目に見えた効果が自分で分かる

ITツールを使いこなすまでのフェーズは3つあって、①と②の段階が1番苦しいこと

何事も全くの”0”から何かを身に付けなくてはいけないときが、1番辛い。

まずは、新しい用語やルールを頭の中に詰め込まなければならない。

完璧な暗記は必要ないが、少なくとも全体像やルールを頭の中に描くことのできるレベルに持って行く必要がある。

そのため、必要最低限の暗記が必要になる。

当然、その暗記は、他の通常業務を行いながら、並行して覚える必要がある。

覚えることが楽しいことならよいが、業務のための新しいITツールなんて、IT担当者にとって面倒以外の何物でもない。

また、このITツールに関する用語やルールを覚えただけでは、全く意味をなさない。

むしろここから、使いこなせる段階に上り詰めるのが、またひと苦労だ・・・それも通常業務と並行しながら身に付けて行く必要がある。

とにかく、この①と②のフェーズというのは、めちゃくちゃ大変なんです・・・ということを知識として教えて上げることが第一歩。

経営者層や上層部は、新しいITツールを導入して、一丁あがり・・・というケースが多いが、ここから、どのように現場の方々に使っていただくのか、その使っていただくための心のケアの勘所を、情報システム部門がつかんでおくことは重要なことだ。

何せ、①と②が1番辛い段階だよ・・・と文章化されたマニュアルなど我が社には存在しないのだから。

まずは、ITツールを覚える時に通らなくてはいけない道を、必ず認識してもらうことが重要である。

①と②の苦しい段階を乗り切るために、あらゆる工夫を自分なりにして欲しいこと

このフェーズが苦しいことは、上手く分かってもらったとして・・・

今度はその苦しいフェーズを乗り切るための方法については、自分なりに考えてもらいたいということを伝える必要がある。

なぜかというと・・・

この苦しいフェーズを乗り切るための方法は、自分自身しか分からないからだ。

こればっかりは情報システム部門が、”こうやってこの苦しい状況を乗り切ってください”・・・とマニュアル化されたものを準備することはできない。

説明できるのは、せいぜい、”このフェーズが必ずやってきます。だからここを上手く乗り切ってください”・・・と知識として教えて上げることだけだ。

100人いれば100通りの乗り切り方があるだろう。

例えば・・・

〇ひたすら新しいITツールを使ってみて、身体で覚えるまで繰り返す

〇上司、同僚、仲間、友人・・・相手を選んで愚痴を言ってストレス発散

〇分からないことはすぐに情報システム部門のメンバーに連絡し、とにかく話す

〇他のIT担当者と情報交換をして、思いを共有する

・・・etc

ま~、色々思い浮かぶけど、万人向けの最適解はきっとない。

なので、情報システム部門としては、こんなフェーズが現れたら、とにかくそれを乗り切る工夫を自分なりに考えてください・・・とお願いするのだ。

情報システム部門はこの①と②の段階を乗り切るために、あらゆるフォローをすること

ただ、それでもIT担当者だけの力で乗り切ることができないケースもあるだろう。

その人のこれまで積み重ねて来た経験が使えるか分からないし、新人の方や中途採用の方など、そもそもこの会社の空気がまだ分からない人だっているだろう。

そのため、このフェーズに関しては、IT担当者が辛い状況に陥ることを情報システム部門が把握し、何かあったらすぐに相談にのってあげること。

オンライン会議、電話、LINE、メール・・・フォローの仕方は色々だ。

大切なのは、部署・事業所において、基本的に1人しかいないIT担当者は孤独であるということ・・・そのことを情報システム部門のメンバーは理解しておくこと。

そういったことを踏まえた上で、IT担当者になってしまった人の心の支えとなり、最後は何とかしますので・・・と心に寄り添った対応をすることが、必要だろう。

そして、最後に、この辛い場面を乗り切れば、今よりも仕事は楽になる、今と同じ力の使い方でもっと成果が出るようになる・・・そのこと、そのIT担当者に合わせた言葉で伝えることができれば、1番よいのだと思う。