DX時代の理想の人材

数年前の話し・・・

ある会社から出向で、我が社の営業部隊をフォローするための人材やってきた。

ものすごい上昇志向が強く、どんな難問や課題が与えられても、自分の知識と経験、人脈を駆使して、高い成果を上げ続けた。

その人を見ていて、”この人こそ本物のプロだ・・・”と本気で思った。

職種は違えど、いままで見てきたどのサラリーマンよりもあきらかにレベルがたかかった。

いったい何がすごかったのか・・・

とても簡単にいうと、この人は自立していた。

与えられた環境だけみれば、大変なはず・・・何せなんの面識もない会社にいきなり放り込まれて事業所の所長や営業マンをフォローして、成果をあげなさい。

こっちから見れば、かなりの無茶ぶりだ。

でもその人は、文句も愚痴も言わず、朝早くから仕事をして、その日の準備をしていた。

そして、残業はほんの少しやるだけで、あきらかに他の残業組より成果を出して、”お先に失礼します・・・”そんな毎日を送っていた。

また、ものすごいスピードで数字の集計、プレゼン資料を作成し、それを営業マンに分かりやすく組み立てて説明していた。

話し方もスムーズで、膨大な知識に裏打ちされた言葉には説得力もあった。

その人の日々の動きを見ていると、成果を出すことだけに集中していた。

いきなりパラシュートで降りてきた全く知らない世界の人間相手に、、ためらいとか躊躇とかそんなものは一切持たず、会社全体の成果を出すため、営業マン相手に説明・説得を繰り返していた。

そして、その方は2年の出向期間の予定をこっちの会社の都合で3年まで延長してもらい、その3年間で途轍もない実績を会社にもたらして、その実績を手土産に自分の会社へと戻っていった。

驚いたのはITリテラシーの高さ

1番驚いたのは、自分が必要と感じたITツールを使いこなす能力だ。

決してITに特化した勉強していたわけではないはずだ。

ただ、説明をしたり、説得をするために、Officeツールや動画編集ソフトを完璧に使いこなしていた。

因みに動画編集ソフトは始めからつかえていたわけではない。

自分の業務に動画で説明する必要に迫られたとき、情報システム部門のメンバーが編集の仕方のとっかかりだけを教えた。

すると、後は全て自分で作業してしまい、見たこともないほど完成度の高い説明動画を作り上げていた。

この人本当にすごいと思った。

その姿を見たとき、強く感じたのは、ITツールを使いこなすというのは、自分の目的を達成するためのただ道具ということだった。

当たり前の話しだが、目的やゴールが明確になっていなければ、ITツールはただの道具なんだと認識することはない。

私も含め多くの社員が、ITツールを使えるようになることが目的になっていると、認識させられる存在だった。

その人にとってITツールも他の知識、道具も自分の目的を果たすための一部でしかない

その人を見て学んだことはたくさんある。

多くの人にとって、ITツールを使えるようになることがゴールになっているように見える。

でも問題は、それを使いこなして自分の仕事に生かせるようになることが本当のゴール。

この2つの違いが分かっている人と分かっていない人では、成果に明確な差が出てくる。

後者を理解している人は、いずれ、自らの意思で、自分の目的達成のためのITツールを探したり、その技術を習得したり、ほんの少しのヒントを情報システム部門のメンバーに求めるだけで自分のスキルとして身に着けたり・・・

そんな動きができるようになるだろう。

見習いたいと思ったその人の仕事の姿勢

その人は頭の良いひとだったので、会社にこんな提案をすれば、自分にどれだけの負担がのしかかるか分かっていたはずだ。

でもそんなこともお構いなしに、いいと思ったことはプレゼン資料を作って会社に提案をし、リスクや負担を一心に背負って仕事をやり続けた。

多少強引に進めるところもあったため、反対派も存在し、協力を得られない場面もあったが、そんなストレスを微塵も感じさせない働きぶりで、会社に膨大に利益をもたらした。

心底この人の仕事の姿勢は見習いたいと思ったし、今の理想はその人のようなサラリーマンになりたいと思っている。

本当の理想は社員1人1人があの人のようになること・・・

会社勤めをする上で、現代では必ず必要となるITリテラシーの向上・・・

でも本当のゴールはITに強くなることではない。

自分の業務にITツールを利用して、より効率的に、より成果の高い結果を出すことがゴール。

そこを勘違いしてはいけない。

そして、ITについては分からないことがあればググったり、ほんの少しのヒントを情報システム部門のメンバーからもらうだけで、後は自走できるような集団にすることができれば、

変化の激しい世の中で、会社も個人も生き残れる確率が高くなるだろう。