便利屋になることを正しく恐れること①

先日まで、我が社の社員のITリテラシーを向上させるために、色々考えてきたが、その中で、便利屋になる・・・という言葉がでてきた。

ITリテラシーが向上したら、周囲の社員に頼られるわけで、最初は心地いいだろう。

何せ人の役に立っているという実感を、すぐに生で感じることができるのだから・・・

ただ、何せこの会社のIT業務は幅広い。

※正確には幅広くなってきて、今後も拡大する一方なのは間違いない。

そんな中、何から何まで、ITに関する質問を受け続けることになる可能性が高い。

他の社員は、ITリテラシーの高い人材を便利に使う。

時には質問したり相談するだけでなく、本来その社員がやらなければならない業務まで、その人材に依頼することも出てくるだろう。

そうして、IT技術を身に着けた社員は、周囲からいいように利用される、いわゆる便利屋になることについて、どう付き合っていけばよいのか?

口を酸っぱくして言われた、かつての上司の言葉、”便利屋になるな”

IT企業から転職し、エンドユーザー側に来た時、最初の上司に言われた言葉。

「便利屋にはなるなよ!」

当時の私はこの言葉の意味を全く理解していなかった。

いや、実際のところ今も完璧には理解できていないし、恐らく今後も完璧に理解する時はこないと思う。それぐらい深い言葉・・・

社会人をやっている以上、会社や社員から使える存在になればなるほど、この便利屋という言葉とは上手く折り合いをつけながら付き合っていく必要がある。

当時の上司としては、周囲の社員から利用されるだけ利用され、自分の労働時間をいいように消費され、あげく、経営者層や人事権を持つ上司への見える化も実施されず、全く評価されない存在になるな・・・ということを言いたかったのではないかと思う。

ま~その上司の方は既に退職されてしまったため、真意を確認する術もないのだが、その上司の方なりに、世渡り下手な私を心配しての言葉だったのだろう。

ただ、今、思うのは、その上司の方の言葉は、ある面から見ると正しくて、ある面から見ると間違っている・・・というのが私の現在の考えだ。

便利屋である期間は必要・・・

はっきり言って、新入社員、中途採用の人材は、最初は会社としてはお荷物だ。

中途採用は即戦力でしょ?・・・なんてそんなのは、ごくごく一部の限られた人だけ、極論言えば理想論だ。

多くの新入社員、中途採用の人材は、入社した当初は使いものにならないのだ。

それを、会社の業態に合わせた人材に育てていく・・・それが1週間なのか、1か月なのか、5年なのかはおいておいて、多かれ少なかれ、会社も採用された人間も、その調整期間が必要となる。

そして、その期間において、採用された側は、必死にアピールすることが必要なのだ。

自分はこんなことができます!・・・と。

使う側の人間も、この人材はどんなことができるのか、分からないものだから、色々なことをやらせる必要がある。

そして、”あ、彼・彼女はこんなことができるんだ・・・”ということに気づき、初めて戦力として認識する。

だから、色々やらされる期間はあるし、強みを見つけられたらそれに特化した仕事を割り振られ続ける。

それは、雑用かもしれないし、その会社に元からいる人材が苦手な分野のものだったり・・・様々だが、これがいわゆる便利屋という存在の始まりなんだと思う。

我が社は社員のITリテラシーが総じて低い。

そんな中にITリテラシーの高い社員が育ってきたら、みんな寄ってたかって使い倒すだろう。

これが、便利屋と呼ばれることにつながるのだが・・・

ただ、自分の力を示すこと、そしてその力を高めること、そして周囲から信頼を得ること・・・これはどうしたって必要な期間で、この期間は便利屋になることを受け入れる必要があると思う。

こいつは便利だ、こいつは役に立つ・・・それがITの分野であれば、我が社において存在価値は間違いなく上がって行く。

じゃ~、いつまで便利屋を続ければいいのか・・・

この続きはまた明日・・・