”効率的に”~”生産性を上げて”・・・そんなもんは量をこなした後の話し

「もっと効率的に~」「もっと生産性を上げて~」

私は上司からのこの指示が大嫌い。

なぜならば・・・

これを言う上の人は、大概の場合、肝心なところを端折ってる。

効率的にとか、生産性を上げるとか・・・言葉で言うのは簡単だけど、この状態に持って行くには、絶対に避けては通れない道がある。

その仕事をこなすための、一見無駄とも思える膨大なインプット、アウトプットを繰り返すという準備運動だ。

この局面においてワークライフバランスなんて存在しない。

効率的に動けるとか、生産性を上げるというのは、この局面を乗り切った者だけが辿り着ける境地なのだ。


まずは”量”を実感した社会人(IT企業人生)3年目

社会人1年目、IT企業に勤めたが全くパソコンのできなかった私は、問題を起こしまくった。黒歴史とはまさにこのこと。

それでも会社は私をクビにせず、次々と社内異動をさせながら、私が育つのをのんびり待ってくれた。今思えば、それが許される時代だったのかもしれない。

ただ入社して1年半、一向に成長する気配がなかった。今、思えば、何の積み重ねもない1年半だった。だから成長しなかった。

しかし転機は訪れる。

会社に入って1年半、私はあるヘルプデスクの部署に配属される。

今振り返ればここが社会人人生のターニングポイント・・・

私みたいなポンコツでも、とりあえず無我夢中で会社にしがみついていると、チャンスはやってくるものなのだ。

※ま~チャンスなんてものは、勉強している人にとって、そこら中に転がっているものなんだけど・・・もちろん当時の私には知る由もない。

入社してから1年半、部署を転々とし、積み重ねのなかった私だが、ここでは大量の作業が待っていた。

大量の作業と言ってもただの、パソコン設定、プリンタ設定、ネットワーク設定、電話フォロー、障害対応の繰り返し。

特に障害対応に関してはパソコン・プリンタの修理・手配、OSのリカバリー、パソコン再設定、電話フォローと、ヘルプデスクセンターに在籍した2年の間に5,000回以上やった。

OSも今思えば懐かしい、Windows95、Windows98、WindowsME。

特にMEは何ていうか、とても困ったOSで・・・リカバリー300回以上やった。

私は朝から晩まで障害対応に明け暮れた。やってることはごく簡単なことだったが何せ量が半端じゃない。

この2年間の大量の障害対応の経験が、今現在に至るまでとてつもなく役に立っている。

パソコン不調・・・

連絡が入った際にだいたいの状況を聞くだけで、何となくここが悪い、こういう対応が必要だ・・・と当たりがつく。

この何となく当たりがつくというレベル・・・これは大量の何かをこなした者だけが辿り着ける、”センス”という奴である。

「あの人はセンスがあって羨ましい・・・」

この表現は間違いで、

「あの人すごいセンスだな・・・つまり大量の何かをこなした人だな」

ちょっと変だが、この表現が合っている。

大量の”何か”をこなし、このセンスがある状態まで辿り着いたとき、人は効率的に動き、生産性を上げる活動ができるようになるのである。

効率的に、生産性を上げる・・・とは?

上司が部下に指示を出す。

「効率的に動けー!」「生産性を1.5倍にしろ!」

こんなこと大声で叫んでも部下はきっとできない。

そんな風に動けるようになるのは、大量の作業をこなした後だから・・・

でも、部下が育つのを待ってくれない会社に、短期であれこれ数字を求められる上司というポジションも、きっとすごく難しいのだろう。

部下を育てるという準備運動ができるような、ほんの少しの余裕を、会社は上司にあげて欲しい。

きっとそれが、効率的とか、生産性を上げるとか、そんな会社にとって理想の境地に辿り着くことのできる、一見遠回りなようで実は1番の近道なのだ。