ITツールをどんどん導入したがる業者さんの落とし穴

企業にサブスクモデルのITツールを売り込み、導入だけして、”はい、おしまい”

ここまで極端ではないにしろ、売り込みの時の気迫と導入後の気迫が全く合わない業者さんがいる。

そして、その導入されたITツールに、社内SEと現場の人達がどれだけ辛い思いをするか・・・

この辛さを本当の意味で理解できる業者さんは少ない。

相手も商売だからある意味致し方ない部分はあるのだろうが・・・

業者の売り込みの相手は利用者ではなく経営者層

どんなに素晴らしいITツールも、使うのは基本的に現場の人間。

そして経営者はそのITツールを導入する場合、費用対効果のみで判断する。

業者もそのことを分かっているので、導入時のメリットとなる、費用対効果に関する説得力は淀みがなく力強い。

一方、導入時の現場の人間や社内SEの負担を説明するのは、撫でる程度・・・

なぜなら、売り込み相手の経営者が関わる部分ではないのだから・・・

もっとも導入後の現場の人間や、社内SEの負担なんて、IT業者さん自身も本当の意味では理解していない。

もちろん口では言う。

「最初は導入担当の方や現場の皆さん、少しは苦労されると思うんですけど~、我々が全力でサポートしますんで~、軌道に乗ってしまえば後は、効率化が図れますので~」

そんなことを言われると、つい心の中で思ってしまう。

”言うのは簡単なんだよな~、あんた実際に社内SEになって采配してみなよ・・・地獄を見るよ”

現場の人間だって、そこまでITリテラシーの高い人材が揃っているわけではないし、そもそも現場の人間は忙しい。

どんなに効率的になる可能性のある道具が入ってきたって、使いこなせるようになるまでは、ただのゴミ・・・いや、ゴミというより、自分の今の仕事の邪魔をする厄介な存在。

新しいITツールに対する現場の人間の目は冷たい。

”この忙しい時に余計な道具、よこしやがって”・・・そんな現場の方の心の声が聞こえて来る。

そしてそれをどうしても使って欲しいとお願いしなくてはいけない社内SEも辛い。

費用を掛けて導入した以上、経営者層はそのツールが費用に見合うだけの効果を欲しがる。

使わなければ、お金をドブに捨てているようなもの・・・なんせこのITツールはサブスクモデル。

毎月、会社からお金が引き出されていくのだ。

効果を欲しがるのは当たり前だ。

社内SEは自分が導入を決めたわけではないにもかかわらず、経営者層の英断となる結果をもたらすため、現場の方にお願いするのである。

”ぜひ使ってください”・・・と。

業者さんにも現実を分かって欲しい

業者さんにとって、ITツールを売り込むことは当たり前。

問題は、そんな業者さんが大勢いるということ。

業者さんにとっては自分だけのITツールが売り込めればいいが、社内SEや現場の方々にとっては、そんな業者さんが束になって掛かってこられたら、たまったもんじゃない。

社内SEや現場の方々は、ひとつのITツールを習得し、使いこなせるようになるまでには、自分の時間と労力を使う必要がある。

それは決して楽な作業ではない。

軌道になるため、途方もない力を注ぐことになる。

それが次から次へと押し寄せてきたら・・・上手くさばけない人から脱落していく。

そのことを、業者さんにも分かって欲しい。

もちろん全ての業者さんとは言わないが・・・

私達社内SEや現場の方々が望んでいるのは、

”こんなこともできる、あんなこともできる、そんなこともできる・・・”

という従来の仕事はそのままの追加方式のツールではなくて、

”この仕事をなくします、この仕事を極端に効率化します・・・”

といった、あきらかに自分の仕事を瞬時に楽にするツールなのだ。

そして、従来の仕事を完璧なくす、もしくはショートカットできるツールだ。

そのことを業者自身が経営者層と調整し、この仕事はなくすことができます・・・とコンサルまで含めてやってくれることが、社内SEや現場の方々が求めているツールなのだ。

・・・そこまで考えて売り込める業者さんはいないかな。