コロナ禍で始まったオンライン会議の顛末

ちょうど今から1年前の5月、我が社でもオンライン会議が導入された。

理由はコロナ・・・

これまで定期的に大人数で集まって行っていた会議を開催することができなくなり、致し方なくオンライン会議に活路を見出すこととなった。

コロナのリスクを敏感に感じ取った経営者層の判断だ。

当然、会社上層部は大混乱に陥った。

※上層部(部長方)は皆、年配者だ。

ついでに社内SEである私達、システム部門も大変な状況に追い込まれた。

死に物狂いで準備を行った社内SE達

経営者層が出したスケジュールはというと・・・

”5月GW明けの上層部の会議より、オンライン会議を実施する”

上層部の数は数十人。

いやその日程・・・普通に考えて無理だろう!

社内SE達は愕然としたが、あれこれ文句を言っている余裕はない。

まず、機材はどうするんだ?設定はどうするんだ?誰が・・・あの方々に操作説明するんだい?

色んな”?”が頭をよぎったが、私達社内SEは、効率的とか生産性とかそんな綺麗ごと全てを投げ捨て必死に頭と手と口を動かし、オンライン会議の準備に没頭した。

※ついでに自分達が持っている業務はその瞬間、全てを投げ出した。

結局私達はサラリーマン、経営者層の決定事項にNOはないのだ。

運が良いことに、部長達は皆、会社から支給されたiPadを持っていた。

※ほとんど机の中に綺麗な状態でしまわれたままになっていたが・・・

これでカメラ、マイク、音声問題はクリアできる。機器はほぼOKだ。

ここから更に怒涛の如く準備を進め、何とかGW明けのオンライン会議にこぎつけた。

オンライン会議における準備とトラブル

それまで私は、重要な会議には及びでなかった。

しかしオンライン会議が運用に乗ってからというもの、会議開催の日程調整、開始前の入室フォロー、開始後のフォローをしなくてはいけない状況に追い込まれた。

以前の私であれば、

「何だか今日は部長達の姿がないな~?会議かな?」

そんな風に、のほほ~んとしていた時代が懐かしい。

正直に言って、オンライン会議が始まって数か月は、社内の会議がいつどんな形で開催されるか、常にアンテナを張り続けた。そして自分のカレンダーは、自分に直接関係のない会議日程で埋め尽くされた。

オンライン会議開催中のフォローも大変だった。

聞きたくもな会議に出席しながら、

「誰々部長、まだ会議に参加できていないようなので、すぐに確認します!」

「コレコレ部長!マイクが入っていません!」

「ソレソレ部長!マイク切ってください!周囲の音声が入っています!」

・・・ま~当初は会議の内容なんかそっちのけで、こんなフォローを繰り返した。

それ以上に大変だった上層部の面々

我が社の会議の数は多い。

そして会議の場というのは、会社の上層部である部長達が、自分の力をアピールする絶好の場であることに疑う余地はない。

これまで、”対面会議”という場で、丁々発止と意見を戦わせてきた部長達が、オンライン会議に操作ミスで入室できず、会議という土俵に辿り着くことすらできずに力尽きる。

そんな事態も現実に起きた。

そんな時は、社内SEである私も会議後部長に連絡を入れ、

「フォローしきれず申し訳ございませんでした・・・」

と謝罪をする。

しかしその際、どの部長も決して怒ることなく、力なく、

「いや~、時代も変わったな~。俺もついていけね~や~。そもそも会議なんてのは、対面で色々話さないと本当の熱量なんて伝わらね~と思うんだけどな・・・」

どの部長もそんな言葉を繰り返していた。

私も何と言葉を掛けてよいやら、分からなかったが、そんな時は必ず、

「繰り返していれば、必ず使いこなせるようになりますよ。オンライン会議なんて、ただの道具ですから・・・数をこなせば大丈夫ですよ。」

そう声を掛けるしかなかった。

そして月日は流れ・・・

部長達は、数多のオンライン会議をこなし続け、現在では自分でオンライン会議を主催し、必要なメンバーを招待するというレベルに達しているのである。

あの部長達がね~・・・と社内SEである私がつい上から目線で思ってしまうほど。

必要に迫られれば、人間たいていの困難は乗り越えられるものだと、改めて認識させられた。

対面会議とオンライン会議はただの使いよう

我が社は元々会議が多い会社だったが、オンライン会議導入後、会議は以前にも増して増えてしまった。

何せ、移動を考えなくてよいし、お手軽にできてしまう。

それはそれで問題だと思うが・・・

もちろんオンライン会議、メリットもあるが、様々なデメリットもある。

中でも1番のデメリットは、情報量が圧倒的に少ないということだ。

相手の表情や仕草、雰囲気というものが非常に分かりづらいため、どうしても中身の濃い情報交換ができない。

だからデリケートな問題や、人事関連、熱量を必要とするプレゼンなどは、やはり対面での会議が望ましい。

むしろオンライン会議を導入したことによって、対面での会議の重要性を再認識させられたくらいだ。

ただ、オンライン会議はお手軽に開催できる上、このコロナ禍において感染リスクを”0”にできるというメリットは感じざるを得ない。

通常の会議はオンラインで、そしてここぞという時には対面の会議で・・・

そんな使い分けをケースバイケースで考えればいい。

このコロナ禍において、私達は会議の選択肢を増やしたのだ。