当時の先輩の思い、当時の私の思い、そして答え

前回の補足・・・

”もしお前が、そのパソコンが分からないっていう気持ちを持ち続けたまま、パソコンのスキルを身に着けることができたとしたら、それはお前にとって大きな武器になる”

部長に言われたその言葉、確かに有難い言葉だったが、その言葉の本当の価値が分かるのはそれから5年以上後のこと・・・

当たり前のことだが、その言葉をもらったからと言って、すぐに活躍できたかというと、IT企業、サラリーマンとはそれほど甘い世界じゃない。

そもそも、パソコンというものが分かってこなきゃ、その言葉の価値を理解する地点に到達することはない。

むしろ、そこから2年間はどんどん加速する地獄を経験することになる。

その当時、先輩方に何度も言われた言葉がある。

「君は、何が分からないのか分からない。お願いだから教えて」

そして私も何度も思った言葉がある。

「何が分からないのか、分からない。」

よく、「分からないことはちゃんと分からないと言って・・・そうしないと教えられないよ」そのような言葉を耳にする。

でも分からないことを、「こうこう、こういう理由でここが分からないんです。」
な~んて聞ける人って、その分野においてそれ相応のレベルにある人が言えることなのだ。

もう少し言うと、

質問できるっていうのは、ある程度、基礎的なことを理解できている人ができることなのだ。

その考えを当時の私は知らなかった。

また当時の先輩方もこの原理を分かっている人はいなかったと思う。

だから、”こいつのこと、どうやって教えてやればいいのか分からねー”ってなっていた。

例えて言うなら、
”1+1”の足し算できない子に、「掛け算、割り算なんで分からないの?何が分からないか教えておくれ?」
・・・そう質問している感じ。

基礎が分からない人に応用教えるのは、はっきり言って時間の無駄、もしくは事態をもっと悪くする。

じゃーどうすりゃいいの?

考え続けて出した私の結論・・・

それは、最初は簡単な問題を大量に解かせること。次に実力より少し上の問題を大量に解かせること。まずは量、とにかく量、それが積み重なってやがて応用問題がこなせるようになっていく。

でもここでひとつ問題が・・・

ここは学校じゃない。

学校だったら、教科書がある。順番にページをめくっていくと、

基礎→大量の問題→応用・・・

みたいな感じで進んでいく。

そしてここが重要・・・学校には教えるプロの先生がいる。

でも会社にはそんな丁寧なマニュアルも優しい先生もいない。会社は学校じゃないから教えるプロはいない。

先輩方は自分の仕事を持っていて、ついでに、片手間で新人教育させられてるのが普通。できない人に全てを合わせていては、会社はきっと成り立たない。

結局できない人は、できる人に追いつく姿勢を持ち続けることが大事なんだ。

じゃ~私はどうやって、最初の量をこなしたのか?

私は幸運だった。

入社1年半後、ある部署に配属された。

それはある別会社をヘルプする部署。

現在の言い方をすれば、

ヘルプデスクセンター(コールセンター)

私はここで、初めて大量にパソコンの基礎に向かい合う時間を会社から与えられたのだ。

そしてここはここで、別の意味で地獄の時間を過ごすこととなるのである。